2012年07月01日
津波から命守る策を 古村・東大教授3連動地震語る
第447回 津波から命守る策を 古村・東大教授3連動地震語る2012年6月
東海地方で大地震が発生した場合の被害想定を話す古村孝志教授=29日、名古屋市内のホテルで |
第447回中日懇話会(中日新聞社主宰)が29日、名古屋市中区の名古屋観光ホテルであり、東京大地震研究所の古村孝志教授が「東海・東南海・南海地震の連動性-最大限の地震津波想定の考え方」をテーマに講演した。古村教授は「津波の怖さを知り、わが事と考えること、そして、災害の経験を伝承することが大切」と訴えた。講演要旨は次の通り。
【東日本大震災】
東北地方では、過去500~600年間、マグニチュード(M)7や8級の地震が繰り返し起こってきた。次も同じような地震だと考えていた。しかし、実際にはM9。本当はもっと長い期間で考えなければならなかった。これまでの考え方に限界があったということだ。
震災では平野で長い時間の揺れが続き、東北・関東で埋め立て地は液状化した。地殻変動で地面が動き、宮城県では今でも海水が入ってきてしまう地域があるほどだ。これほどの津波に襲われたことが信じられなかった。
【東海・東南海・南海の三連動地震】
震災を受けて駿河湾から日向灘沖に延びる浅い海溝「南海トラフ」沿いで発生する三地震の想定も見直しが迫られた。震災前は、1707年にあったM8・7の宝永地震が想定の基準に使われていた。当時は「宝永を想定の基準に使うのは大きすぎる」との意見があった。
しかし、震災後は数百年に一度発生するクラスの地震想定「レベル1」と、起こりうる最大規模の地震想定「レベル2」の2種類を用意するという考え方になった。高知県黒潮町で34メートルの津波など、中央防災会議の専門委員会が3月に公表した想定は後者だ。
【対策】
レベル1の津波では、浸水を食い止め、人命と財産を守る対策が必要。だが、レベル2での被害を完全に防ぐのは不可能だ。津波の威力を抑えて避難の時間を稼ぎ、財産は守れなくとも人命を守ることを目標にすべきだ。ただ、発電所のような重要施設はレベル2にもしっかり備えなければならない。
一方で、揺れの場合はレベル2にも対策ができる。耐震化された建物ならばレベル2の揺れにも耐えられる。3・11では、揺れで木造家屋に大きな被害が少なかったが、これは揺れの種類が阪神大震災と異なっただけだ。
東海・東南海・南海の三連動地震では、揺れで耐震基準を満たしていない木造家屋に被害が出ると思った方がいい。揺れやすい地点や液状化しやすい場所も公表されている。家を強くし、情報を集め、家具を固定すれば、命を守ることができるはずだ。
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